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トーノスの神話、歴史、地理、信仰、職業、魔法、怪異、人物について知ろう
創世神話「花占い」
トーノスの神話は、『遠野物語』第2話のアーキタイプ(原型)です。すべてはここからはじまりました。
はじめに女神があった。
女神は三人の娘を連れ、トーノスの地に来た。
「今宵、天より霊花(ロータス)が降る。その花を手にした者に、この地でもっとも高き山を与えよう」
その夜、霊花は長女の胸元に舞い降りた。
しかし、夜半に目を覚ました三女が、眠る姉の懐よりひそかに花を盗んだ。
朝が来た。女神は花を持つ者の手を見た。
霊花を掲げた三女が、もっとも高き山を得た。次に長女が二番目の山を、次女が三番目の山をいただいた。
しかし、女神にはもうひとりの娘があった。
四女は一日遅れてトーノスの地に着き、花占いがすでに終わったことを知った。
悲しみと怒りに駆られた四女は、大地を押し上げ、自らの手で新しい山を築いた。
こうしてトーノスは四方を山に囲まれた盆地となった。
歴史
太古——湖の時代
最終間氷期、トーノスの盆地は湖の底にあった。湖の水が川から流れ出て平地が現れた後、人々が住みはじめた。
大洪水——アゾヌム紀412年
パハヤチニカの山頂の氷河湖が決壊し、山から解き放たれた水は盆地の国を一夜にして呑み込んだ。城も、蔵も、田も、畑も、すべてが湖の底に沈んだ。アゾヌムの第14代領主ヒロナガは遠征に出ていた。
暗黒時代——アゾヌム紀412〜439年
城を預かっていたスルガ、タンバ、サマノスケの三人が政権を奪った。背後にはナンバスのトシナオ。傀儡政権に裁定能力はなく、武力だけが正義となった。水のクニに湖沼人たちが流れ込み、混沌と豊穣が共存する時代が始まった。
清心紀——アゾヌム紀439年〜
ナンバスから清心(セイシン)と呼ばれる女性がトーノスに現れ、暗黒時代を終わらせた。人々からは「ねね様」とも呼ばれ、平和のうちにトーノスを治め始めた。
地理
トーノスは四方を山に囲まれた盆地である。北にパハヤチニカ、東にロクカウシ、西にイシカムイ、南にモノヌプリが立つ。盆地の中央を猿ヶ石川が流れ、笛吹峠を越えれば海沿いの港町オーツに至る。南からは五輪峠を通じてゼンダスとつながる。
トーノスは二つの大国——北のナンバスと南のゼンダス——が接する境界に位置する。海と山を結ぶ交易の中心地であり、山からは豊富な金が産出される産金国でもある。
トーノス四山
北
パハヤチニカ
もっとも高い山。三女の山
東
ロクカウシ
二番目。長女の山
西
イシカムイ
三番目。次女の山
南
モノヌプリ
四女が怒りで築いた山
十三郷
猿ヶ石川の流域に点在する十三の村。それぞれにトーテムとなる動物の氏祖・神獣を持つ。
ヨコダス
Yokodas — 横田
サケ
マツザク
Matsuzak — 松崎
キツネ
アオザス
Aozas — 青笹
シカ
ツチブク
Tsuchibuk — 土淵
カエル
カミゴル
Kamigol — 上郷
カモシカ
ミヤモル
Miyamol — 宮守
ミミズク
タゾベル
Tazobel — 達曽部
クマ
マスザル
Masuzal — 鱒沢
ヘビ
アヤオル
Ayaol — 綾織
クモ
オトモス
Otomos — 小友
ワシ
ツキモス
Tsukimos — 附馬牛
ウマ
オイデス
Oides — 大出
オオカミ
ツチムル
Tsuchimul — 土室
ムカデ
信仰
トーノスには複数の信仰が重層的に共存している。
四女神
花占いの神話に由来する四柱の女神。同じ女神でありながら、平地人・山人・湖沼人それぞれに呼び名が異なる。
霊華を正当に受け取りながら、三女に盗まれた。しかし怒らず、二番目の山を受け取って黙って立った。奪われても再び実りをもたらす大地の母神。
花占いの夜、何も奪わず、何も抗議せず、三番目の山をちゃっかり手に入れた。最小の労力で最大の利を得た者。
夜中に起き出して、眠る姉の懐から霊華を盗み、もっとも高い山を得た。盗むことで道を拓いた最初の存在。
花占いに参加すらできなかった。悲しみと怒りで大地を押し上げ、自らの手で新しい山を築いた。恩恵と災厄は同じ手から来る。
トーテム信仰
十三郷それぞれに動物の氏祖がある。サケ、キツネ、シカ、カエル、カモシカ、ミミズク、クマ、ヘビ、クモ、ワシ、ウマ、オオカミ、ムカデ。神獣は真の名を持ち、生死にかかわる場面でのみ口にされる。
オシラ様
馬と娘の悲恋から生まれた信仰。家ごとに祀られる守り神であり、養蚕の神でもある。
修験
山人の信仰。山そのものが聖なるものであり、山に入ること自体が信仰の実践。パハヤチニカを霊場とする。
仏教
平地人の信仰の柱。盆地の町や村に寺院があり、葬送や供養を担う。暗黒時代には寺院もまた武装した。
神道
土地の神を祀る神社が各地にある。古いトーテム信仰が神社の形をとって残っている場合もある。
キリシタン
海の向こうからもたらされた外来の信仰。ロザリオを手にする者がごく少数ながら存在する。
三つの民
トーノスでは、三つの異なる生き方が交錯している。
平地人
Plainsfolk盆地に戻り、田畑を耕し、町を再建した人々。かつての秩序を知っている者と、秩序なき時代しか知らない者が混在している。武装した平地人たちは、自分の土地と蓄えを自分で守っている。
平地人はまじないが暮らしに深く浸透している。かまどの火除け、安産、豊作、病除けなど、生活のあらゆる場面にまじないがある。実りの神アメ様を最も信仰し、土地の神を祀る神社と仏教寺院が信仰の柱。
山人
Mountainfolk氷河湖の崩壊以前からこの山々に住んでいた。大洪水を山の上から見下ろし、水が引いても降りてこなかった者が多い。猟師、木こり、炭焼き、薬草採り、修験者、そして金属を掘り精製する技術者。
山そのものが聖なるものであり、女神を人の名前で呼ばない。山名がそのまま神の名である。精霊魔法に通じ、山の中で自然と向き合い続ける暮らしが精霊との感応を保つ。
湖沼人
Lakefolk — 推奨PC土地を持たず、舟を持つ。川と沼を道として使い、水辺だけでなく山にも平地にも現れ、どこにも属さない。属さないからこそ、平地人と山人をつなぐ存在でもある。
沈んだ財宝を引き揚げる者であり、山人と平地人をとりもつ交易者でもある。復興で賑わうトーノスの噂を聞きつけ、各地から流れてきた食いつめ者たちだ。ひとつの職に留まらず、必要に応じて姿を変えて生きる。
盗みの神ミオ様と怒りの神カゲ様を最も信仰する。「欲しいものは手を伸ばして取れ、ただし夜のうちに」と湖沼人は言う。
湖沼人の職業
ひとつの職業に固定する必要はなく、「本業は泥潜りだが、冬場は茸見もやる」といった兼業が自然な設定になる。
水辺の職業
山の職業
里と信仰の職業
どこにでも現れる職業
三つの魔法
トーノスには三つの異なる魔法がある。
まじない
口伝の民間魔法
口伝で伝えられる民間の魔法。体系はなく、教典もない。主に女性が担い手だが、山人の男も山に入る際にまじないを口にする。どこにでもあり、誰でも知っている。日常の延長にある魔法。
- 平地人:暮らしに最も深く浸透。かまどの火除け、安産、豊作、病除け
- 山人:山の神への祈願。猟の安全、茸の毒除け、獣の魂送り
- 湖沼人:惚れ薬の調合や呪いの類を扱う。「守り」ではなく「攻め」のまじない
魔術
体系化された学問としての魔法
特定の訓練を受けた者だけが使うことができる。記録され、分類され、学院で教えられる。もともとは権力の側にある魔法だった。
トーノスにおける拠点は、ツキモスにあるトーゼナス寺院。アゾヌムの時代には王家の保護のもとで運営されていたが、大洪水とクーデターによって後ろ盾は失われた。暗黒時代の現在、独自に武装し、閉鎖的な組織として自らの知識と身を守っている。
精霊魔法
精霊の声を聞く者だけが使える魔法
精霊に働きかけ、精霊の声を聞くことができる者だけが使える。体系的に学ぶものではなく、完全に個人の素質に依存する。訓練で身につくものではない。
- 平地人:精霊の声を聞くことは難しい。定住し、人の社会の中で暮らす者は精霊との回路が閉じやすい
- 山人:得意とする。山の中で自然と向き合い続ける暮らしが感応を保つ
- 湖沼人:得意とする。人と精霊の境界をも曖昧にする暮らし
- 長命族:最も通じている。長い時間をかけて精霊との関係を築いてきた
怪異・異形
トーノスに棲む不思議な存在たち。
主要NPC
冒険者の近くにいる人物
湖沼人に仕事を手配する。藻刈りや失せ物探しや怪異の征伐まで。大抵の冒険者は初心者のときにアッセンの世話になる
笛吹峠の麓の東屋にいる語り部。数百年を生きており、トーノスの歴史を誰よりも知っている
十三郷でもっともすぐれたまじないの使い手として有名な女性
カザイ、アゾヌム、オーツと、仕えた家が次々と滅んでしまった漂流の狩人。ナンバスに復讐を誓う
ヒロナガの弟。宗家回復を期してトーノスに潜伏している
大洪水とクーデターの関係者
大洪水の時、大きな戦争の遠征に出ていた。水に沈んだ国に帰る場所を失い、ゼンダスに亡命している
ヒロナガの留守中に城を預かっていた三人のひとり。大洪水のどさくさに紛れて政権を奪ったが、傀儡政権の一角を担うにとどまり、裁定能力を持たない
クーデターの黒幕。ナンバスの意向でトーノスを傀儡支配しようとした。背後にある大国の思惑を象徴する
アゾヌム紀439年にトーノスに現れ、暗黒時代を終わらせた女性。人々からは「ねね様」とも呼ばれた。平和のうちにトーノスを治め、清心紀を開いた
冒険の手引き
冒険者たちが集まり、行き交う、トーノスの主要な場所。
ナバク
トーノスの中心にある城砦。一日市が立つ交易の場
倉堀
湖沼人の集落の中心。モノヌプリと猿ヶ石川に挟まれた淵のほとり
トーゼナス寺院
ツキモスにある魔術の寺院。暗黒時代には武装した閉鎖組織
笛吹峠
トーノスとオーツをつなぐ峠。笛吹きが旅人を導く
オーツ
笛吹峠を越えた先にある海沿いの港町。さらに広い世界へとつながる
水のクニとなったトーノス全景
水は少しずつ流れ出したが、そこは以前と同じ風景ではなかった。
猿ヶ石川を幹として無数の支流が盆地を走り、あちこちに淵と沼が残った。かつての城下町は泥の下に埋もれ、沈んだ建物の柱が水面から突き出している場所もある。霧が立ちやすく、朝と夕には盆地全体が白い靄に覆われる。
トーノスの風景は、陸でも水でもない。その中間にある。
この王も法もない水のクニに引き寄せられるように、定まった生業を持たない者たちが流れ込んできた。犯罪者、流れ者、珍しい職業の持ち主、そして冒険者——彼らが湖沼人(レイクフォーク)である。
混沌と豊穣が共存する場所——それが暗黒時代のトーノスであり、冒険の舞台である。
はじまり
トーノスという名の盆地がある。
氷河湖の崩壊によっていまも水に沈む、海と山の交易の要だ。
平地人のなかには、トーノスを「呪われた洲(しま)」と呼ぶ者もいる。
あなたはトーノスの湖沼人として、山と平地の間を行き来し、さまざまな厄介ごとに巻き込まれていきます。